映画「どろろ」で手塚治虫ワールドを 1
ホームズ、今日の「とっておき話」の
ホームセンターからは・・・
皆さん、「どろろ」というマンガはご存知ですか?
あの手塚治虫の傑作のひとつです。
「どろろ」というのは、小さな子供が「泥棒」と言えず「どろろ〜」と言っていたので、そのままタイトルに用いたそうです。
そう、もともとのタイトルは「どろぼう」だったのですね。
どろろは戦国の世に盗賊の首領の子供として生まれますが、部下の裏切りに会い、最愛の母とも死別。
(配給の煮だっている熱い粥を盛る器がなく、母が自らの手に粥をわけさせる場面や、雪の降る寒い夜、どろろを抱いたまま、死んでいく場面などは今も記憶に残る名場面です)
その後戦乱の世を強くたくましく「男」として生きていきます。
あるとき盗みのターゲットに選んだのが百鬼丸。
このサムライの運命がまさしく奇奇怪怪、手塚治虫ワールド満載なのです。
・ ・ ・
百鬼丸は醍醐景光の子として生まれるのですが、醍醐は自分の野望のために子供の48箇所を魔物に捧げてしまいます。こうして目も鼻も手も足も、暑さ寒さを感知する感覚さえも無くした一個の「物体」として、生れ落ちるのが百鬼丸です。実におどろおどろしいスタートですな〜。
醍醐の命令で川に流された「物体」は、寿海(じゅかい)という医者に拾われます。この人間とも思えぬ
「モノ」は、しかし一種のテレパシーで寿海と会話。寿海は自分の子として育てると同時に、義手義足などを与え、人間らしい体を作ってあげたのでした。
成長すると同時に百鬼丸の周囲には得体の知れぬ妖怪が出没し始めます。寿海はこの世界には百鬼丸の幸福は望めないことを悟り、彼の生きる世界を捜すために泣く泣く彼を旅立たせるのですが、その際、義手に刀を仕込んだり、鼻は爆発物にしたりと、闘う道具を与えるのです。
旅立ちをしたばかりのころ、百鬼丸はある声を耳にします。「お前の体を取り戻したいなら、これから出会う48の魔物と戦え。」と・・・
こうして旅の目的を見つけた百鬼丸と、彼の義手に仕込んだ妖刀をねらうどろろの奇妙な旅が始まるのでした。
・ ・ ・ ・
「どろろ」はこの奇想天外な、マンガならではのストーリーの面白さが魅力ですが、随所随所にさしはさまれる悲哀の調べに胸打たれます。
たとえば、「俺はダメな人間だ。」と自暴自棄になる百鬼丸に「生きる」ことを教えた盲目の法師の言葉。たとえば、百鬼丸を暖かく迎えた孤児院で、初めて知るほのかな恋心、そして残酷な別れ。
たとえば、憎しみながらも心のどこかで求めた母への愛、弟(多宝丸)との非情な果し合い・・などなど。
このマンガは実に多くのことを語っています。
人間の際限ない欲望、たくましい生命力、そして生きることの素晴らしさ、勇気、親子の情、友情、戦争の愚かしさ・・・
単にSFで終わらせない、人間としてのメッセージを発し続けた手塚治虫の、まさに会心の一作だと思います。
今回、「どろろ」が映画化。27日公開です。映画技術の進歩でようやくこの作品も映像化できるようになったのでしょう。原作に潜むメッセージを、どれかひとつでも感じさせてくれる作品に仕上がっていることを心より願っています。
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「どろろ」実写映画化…
主演は妻夫木と柴咲コウ
故・手塚治虫さんが昭和42年に発表し、アニメ化もされた漫画「どろろ」が実写映画化されることになった。「どろろ DORORO」(塩田明彦監督)のタイトルで平成19年に公開予定。主演の百鬼丸役には俳優、妻夫木聡(24)、どろろ役は女優の柴咲コウ(24)が演じる。
「どろろ」は、誕生時に体の48カ所を魔物に奪われた百鬼丸が、魔物から体を取り戻すために男装した子供の「どろろ」と諸国を旅する物語。
映画は総製作費20億円超という大作で、妻夫木は
「自分でもびっくりするほどワクワクしている」と意欲満々だ。
ZAKZAK 2005/11/17
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この記事へのコメント
ホームズさんもこの文面からすると
相当はまったクチですね。
えぇ、このコミックはノンストップで読みましたよ。百鬼丸かっこいいですよね。